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志願者は少なくなかった。金星へ人類が初めて長期滞在する「expand計画」には、全人類のうちたった4人が着任できる。
金星の上空、50-60kmでは温度・気圧ともに地球環境と同程度になる。以前からこの「ハビタブルゾーン」への探査は行われていた。しかし人類が長期滞在し、金星の大気・地表を探査するのは初めてのことだった。

4人を1年半、金星に滞在させるのだから、その探査兼、滞在施設も相応の大きさになることは容易に想像できる。しかし「expand計画」の探査施設「expand」はその想像よりも遥かに巨大なものであるだろう。直径50mもの巨大な風船の中に、7つの円形のフロアが中央縦一列に吊るされている。
金星の大気の主成分は二酸化炭素である。地球の大気は二酸化炭素よりも軽いため、風船内の空気が、金星ではそのまま浮力ガスとして利用できる。施設全体を浮遊させる浮力を確保するため、このような大空間になっている。

7つのフロアのうち上部4つはそれぞれのクルーのフロアになっている。下部の3つは共有部であり、ダイニングや施設の機関室、そして降下用の探査機を開発・修理するフロアとなっている。
クルーのフロアはexpandが浮遊するための軽量化と金星での生活に適応するためのつくりとなっている。
まず素材についてだが、施設の外皮と同じように、薄い膜材で構成されている。クルーが作業をしたり、くつろぐためのファーニチャーも膜材からなり、ファスナーをアタッチメントとして居住部に固定される。
まず素材についてだが、施設の外皮と同じように、薄い膜材で構成されている。クルーが作業をしたり、くつろぐためのファーニチャーも膜材からなり、ファスナーをアタッチメントとして居住部に固定される。

またexpandは金星上空の緯度60度付近を風に乗って周回するため、地球日でいう4日で金星を一周することになる。つまり昼が二日、夜が二日続く。この環境に対応するため、居住用のフロアでは上下の2層構造になっており、上部で昼間の作業を下部で夜間のプライベートな時間を過ごすことになっている。
また金星が夜の間の作業についてだが、これも問題ない。expandの上部には人工太陽照明が備わっており、朝日から夕暮れまでと、地球上の一日を再現している。

金星の上空に浮遊する。
この条件を達成するために、地球の一部をつまんできたような内部空間となった探査施設「expand」
金星に浮かぶ小さな地球にはたった4人。彼らは人類をさらなる拡張へと導けるのだろうか。
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DUMMY SOLAR(MORNING)

DUMMY SOLAR(NOON)

DUMMY SOLAR(EVENING)

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